脱炭素社会の実現へ。お客様の課題を引き出し解決する視点

脱炭素社会の実現へ。お客様の課題を引き出し解決する視点

太陽光発電した電気を、従来のように全量売電するのではなく、自社の事業所で使用できるようにする「事業所向けスマートエネルギーシステム」。自家消費太陽光発電(自家消費PV)と電気自動車(EV)充電器を組み合わせ、企業に合った電力運用の提案をするサービスです。電気代の高騰に対応し、かつ脱炭素化や省エネ化に向けて期待の大きいこの事業は、どのように生み出されたのか。開発の経緯を聞きました。

※全量売電:発電した電気をすべて電力会社に売電する仕組み。企業にとっては収益性の高い事業となる

自家消費PV

企業のニーズに応えるオーダーメイドのシステム

事業所向けスマートエネルギーシステムとは、どんなサービスですか?

二井田 自社に設置した太陽光パネルで発電した電気を、自社の事業所で使用できるようにするシステムです。太陽光発電は、これまで全量売電が主流でしたが、売電価格の下落、電気代の高騰、BCP対策、再生可能エネルギーの使用が重視される社会環境の変化に伴い売電から、自家消費する流れに切り替わっています。

このサービスでは、自家消費PVに電気自動車(EV)充電器を組合せ、普段は太陽光発電で得た電気を事務所やEV車の充電用に使用します。有事の際は太陽光発電とEV車から放電させた電気を事務所に送り、一時的なライフラインを維持することができます。

私たちは商社として太陽光パネルから変圧器まで豊富な部材を扱っており、太陽光パネルの設置場所も屋根上、野立て、水上などさまざまな実績がございます。お客様、工事会社様、メーカー様と打合せを重ね、お客様へ最適をお届けする対応力が強みになっていると思います。

このシステムでどのくらいの電力を賄えるものなのですか?

二井田 消費電力と太陽光パネルの設置割合にもよりますが、30%程の現場が多く、90%程まで賄えるケースもあります。余剰電力を蓄電池に蓄電し、夜間も使用できる施設だと自家消費率向上が期待できます。

大平 最近は電気代が高騰してお困りの企業様が多いので、これまでの投資的な意味合いが強い売電から、自家消費へ舵を切るご提案をさせていただいています。また、「脱炭素や省エネに向けて、何をしたらいいのかわからない」という企業様もいらっしゃいます。脱炭素と言っても、まだメタネーションやバイオマスなどは技術的に難しい面があるので、「まず太陽光から始めてみませんか?」とお伝えしていますね。

二井田 大手企業が「再生可能エネルギーを使って製造をしている会社でなければ、取引をしない」といった制約を設けるなど、いまは環境に配慮したルールもできています。このサービスは環境面にも一役買っていけるのではないかと思います。

脱炭素社会の実現へ。お客様の課題を引き出し解決する視点

コツコツと学んできたことが大きなソリューションに

サービスの開発のきっかけを教えてください。

大平 私たちは10年程前から太陽光の事業に携わっていて、中国の工場でソーラーパネルの半完成品を製造して納品するお仕事を請け負っていました。中国には100社程ソーラーパネルメーカーがあったので、その中で目利きの技術が蓄積されていきました。

そこで今度は、部品だけではなくソーラーパネルそのものを売り始めました。すると、お客様からソーラーパネルだけでなく、「パワーコンディショナー」や「EV充電器」といった、周辺部材をご依頼されることが増えていきました。ご要望にお応えしているうちに、土地以外の太陽光関連商材をすべて扱えるようになっていました。

そこから時代の流れが全量売電から自家消費に移っていくなかで、「このシステムを自分たちでも提案できるのでは?」と考えるようになりました。ある日急にできるようになったのではなく、部品や機材を取り扱う中で学んできたことが活きて、今のサービスになっています。

二井田 自家消費に関して、2022年の実績は30件ぐらいです。2023年は補助金関係が手厚くなっていることもあり、上期ですでに30件はお受けしています。ニシヤマ本社にこのシステムを導入する計画もあり、来社されたお客様に見学いただけるスペースなどもつくっていきたいと考えています。

サービス化するうえで特に難しかった点はどんなところでしょうか。

二井田 太陽光に関する事業を始めた頃は、何も知識がない状態でお客様に怒られることもありました。取り扱っている部品も部材も少なく、最初は本当に、全然わからなかったんです。各メーカー様のトレーニングに参加させていただくなどして、少しずつ知識を蓄えました。

それから、材料だけを販売するのではなく、実際に現場に行かせていただくことを大事にしていました。例えば、太陽光パネルで発電した電気を家で使ったり売電したりできるように変換するパワーコンディショナーは、セットアップ作業まで担当しています。モノを売るだけではなく、実際に現場に行って手を動かすことでお客様に気に入っていただけたのではないかと思います。

大平 実際に現場に行ってお客様とコミュニケーションを取ることで、このサービスも形にできたのかなと思います。例えば、パワーコンディショナーのセッティングは、お客様が苦手にされている傾向にあります。「セッティングをお手伝いしましょうか?」というところから、「あれも、これも」とお手伝いできることを増やしていきました。

それから、以前主流だった全量売電には、「投資」のイメージが強くあります。やっぱり本業のほうに力を入れたいと考えるお客様が多いですね。お客様のものづくりに貢献するサービスが求められていると感じました。

このシステムは、省エネという形でお客様の本業を間接的に補助できます。商品をつくるわけではないですが、電気料金を下げることで、お客様にも収益を上げてもらえる。「お客様が求めるものに近いのではないか」と提案を始めたところ、実際にお困りの声が大きく、案件化することができるようになりました。

コミュニケーションを一つひとつ積み重ねていく

お客様の声からサービスをつくられたのですね。お二人が仕事をするうえで大切にしていることはなんですか?

大平 特にお客様とのコミュニケーションを大事にしています。商品は、お客様の「こういうものがあれば」「これを組み合わせたら面白いよね」という声から生まれることが多いです。それをしっかり聞いて形にすることですね。お客様はコミュニケーションを密に取っていないと、困りごとを教えてくれません。この間もお客様がある機器の発注を忘れた時に「届けにきました」といった些細な内容であってもお話にいって、一つひとつ積み上げていくことが大事だと考えています。

それから、その中でウィークポイントを見つけることですね。スマートエネルギーシステムも、お客様自身で取り付けしようとすると大変なことです。そこで「私たちがやりましょうか?」と提案したところから、このサービスも始まっています。

私たちは大手商社のように大量に商品を仕入れて捌くようなことはできませんが、お客様と仕入れ先をつなぐことを第一に考えて動いています。コミュニケーションはお互いの情報を出し合うことであり、関係性を築くうえでとても重要です。そう考える社員が多いのは、ニシヤマの特徴だと思います。

二井田 大平さんは、お客様とのキャッチボールがとても早いんですよ。問い合わせがあれば的確に回答して、トラブルがあった時にもすぐに報告します。「報・連・相」の速さが強みだと思います。

私たち技術部門も、なるべく早くお答えすることを大事にしています。現場は動いていますから、メーカー様とすぐ連絡を取り合って、技術的な回答ができることが大事です。

お客様のお困りごとをお聞きして、それに適うものをお持ちするという、うちの基本的な考え方は、技術でも営業でも変わりません。毎日のように電話してコミュニケーションを取って、それを実現できるようにしています

なるほど。そうしてお客様のニーズを聞いたうえで、それを解決できるようにするためには、どんなことが大事でしょうか。

二井田 社内でのコミュニケーションですね。技術的な部分とお客様のご要望との落としどころを上手くまとめていくために、営業と技術の話し合いも頻繁にしています。

ニシヤマには、お互いに話しやすい空気があると思います。私は中途入社ですが、前職は20万人程社員がいて、全体感が掴みにくく、一つのパーツをつくっている感覚でした。それに比べるとニシヤマは本社でも200人程で、コミュニケーションが取りやすい規模感だと思います。上長の席も数メートルのところにあるので、立ち話もしやすいですしね。部下と上長がフラットな社風でもあります。

大平 お互いがお互いを尊敬して、認め合っているところがありますよね。小さな所帯で、お互いにずっと顔を合わせて仕事をしている。そういう関係性ができあがっていることが重要なのではないかと思います。

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